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米国で住宅の修理・改修にかかる費用が、10月まで上がり続けています。Bloombergによると、エネルギーや原油の価格上昇、高止まりする金利が重なり、Veriskのデータでは6月までの3カ月間の伸びが2024年10月以来の速さになりました。メーカー側でも、建材、塗料、空調機器、プール用品などで値上げが相次いでいます。洗濯機大手のWhirlpoolも米国での価格引き上げを打ち出しました。買い替えを先送りして今の住まいを手直しする家庭が増えるなか、その手直しの費用まで膨らむという、二重の負担が生じています。

引用元: 米国で住宅修理・改修費が上昇、企業の値上げが家計を圧迫(Bloomberg)

分析・見解

原油高と高金利が修理費を押し上げる仕組み

住宅の修理費は、材料費と人件費の合計で決まる。材料のうち塗料、断熱材、配管用の樹脂は石油を原料にしている。原油が上がれば、数カ月遅れて店頭価格に響く。輸送費も同じ道筋で上がる。

加えて高金利が効いている。住宅ローンの金利が高いと、人々は家を売らずに住み続ける。住み続ければ傷みが出る。その結果、屋根、空調、水回りの修理需要は、景気にかかわらず底堅く続く。需要が落ちないまま費用だけが上がる構図である。

値上げが連鎖する理由は、作る側の事情にある

今回の特徴は、一つの品目ではなく、塗料から家電、プール用品まで幅広く上がっている点だ。これは各社が原材料の高騰を一斉に価格へ転嫁し始めたことを示す。

企業側にとっては、一度に上げれば他社も上げているため、顧客を失いにくい。2022年のインフレ期にも、家電や建材で似た動きがあった。当時は在庫調整が進むと値上げが止まった。今回は在庫が薄いまま原価が上がっているため、値下がりまでに時間がかかる可能性がある。

買い替えより修理を選ぶ家庭が増える

新品の家電や設備が値上がりすれば、家庭は「壊れたら買い替え」から「直して使う」へ傾く。冷蔵庫や洗濯機の修理は、新品価格の3割以下で済むことが多い。そのため値上げは、修理需要を押し上げる力にもなる。

ここに皮肉がある。修理に使う部品も同じ値上げの波を受ける。修理が割安である期間は、思ったより短いかもしれない。部品が高くなれば、修理と買い替えの差は縮まる。

修理しやすさが価格競争の新しい軸になる

注目したいのは、部品を長く供給し、手順を公開するメーカーが選ばれやすくなることだ。家計が苦しいほど、人は長く使える製品を選ぶ。今後は本体価格だけでなく、部品の入手しやすさと修理費が購入の決め手になるだろう。欧州では修理する権利の法整備が進んでいる。米国でも州ごとに同様の動きが広がっており、値上げ局面が追い風になる可能性がある。

ビジネスへの影響

修理を担う事業者が今のうちに備えるべきこと

修理業者、設備工事会社にとっては、部品の仕入れ価格の上昇をどう価格に反映するかが課題になる。見積書に有効期限を短く設け、材料費の変動を条項で明記するとよい。後から値上げを求めると、顧客の信頼を損ねやすい。

また、よく使う部品は価格が安い時期にまとめて確保する。ただし在庫を抱えすぎれば資金繰りを圧迫するため、過去の依頼件数から上位の部品に絞るのが現実的だ。

メーカーと小売は修理を売上の柱に育てられる

新品の値上げで買い控えが起きる局面では、修理サービスと中古品の再販が収益の受け皿になる。部品の供給期間を延ばし、修理手順の案内を整えるだけで、購入前の安心感が増す。

小売業なら、点検や簡易修理の窓口を店頭に置くことで、来店の理由を作れる。値上げで離れた客を、修理を通じてつなぎとめる発想である。

日本の読者が自社に引き寄せて考える点

日本でも資材や電気代の上昇で、住宅や設備の維持費は増えている。米国の動きは数カ月から1年遅れて波及することが多い。管理会社や不動産オーナーは、修繕計画の予算に1〜2割の余裕を見ておくと安全だ。

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